TREKのロードバイクって種類がいくつかあるけど何が違うの?
これはぼくが担当するプレシジョンフィットのフィッティングの最中や、接客の時にお客さまから聞かれることがよくある質問です。今回はフィッティングの観点からこの3つの車種の違いをお話したいと思います。
ジオメトリーの違い
まずは自転車を構成するフレーム各部の長さや角度はフレームサイズが同じであっても車種によって異なります。TREKの3車種についても例外はありません。しかしこの3車種のうち、ほぼ同じジオメトリーで構成されている車種があります。それはEmonda(エモンダ)とMadone(マドン)です。この2車種のジオメトリーで唯一違う部分はフレームスタックと呼ばれる箇所のみとなっています。フレームスタックとはボトムブラケット中心からヘッドチューブ中心線上端までの垂直距離のことを指します。分かりづらいので下の写真を確認ください。
赤い矢印がフレームスタックと呼ばれる部分です。
この部分が短ければサドル高はより低く設定でき、長いほどサドル高を低くする際に制限がでてきます。ただしEmonda(エモンダ)とMadone(マドン)でのフレームスタックの違いはわずか5mmとなっているのでそこまで制限されることもないです。
つまり、今どちらかのバイクに乗っている方(例えばEmonda)がもう一方の車種(例えばMadone)に乗り換えるとして、同じフレームサイズを選択すれば、ほぼ同じポジションをとることが可能なのです。
では、Domane(ドマーネ)についてはどうでしょうか?重心を低く、ホイールベースを長めに設定して直進安定性を高めているというのも特徴の一つですが、フィッティングの観点からみて、フレームサイズによって多少の違いはありますが5mm~10mm程度ヘッドチューブが長く、そしてヘッドのアングル角度が浅いため、ハンドルが少し高めに設定できます。
ヘッドチューブ角度も浅く(より真っ直ぐに近く)なるため赤い矢印部分が長くなります。
つまり、Domane(ドマーネ)の方がEmonda(エモンダ)、Madone(マドン)に比べて上半身を起こした、アップライトなポジションをとりやすくなります。
それぞれの特長をまとめてみました
Emonda(エモンダ)、Madone(マドン) |
Domane(ドマーネ) |
Domane(ドマーネ)に比べてサドルとハンドルの落差が出しやすいのでレーシーなポジションがとりやすい。 |
Emonda(エモンダ)、Madone(マドン)に比べてハンドルを高い位置に設定できるため、上半身を起こしたポジションがとりやすい。 |
上半身の柔軟性が標準~高めの方のほうがポジションが出しやすい。 |
上半身の柔軟性が低めの方でもポジションの調整が容易にできる。 |
それぞれの自転車の特長ももちろんですが、自転車に乗った際のポジショニングまでトータルで考える方は是非参考にしてみて下さい。ちなみに僕の担当するPrecision Fit(プレシジョンフィット)では、体の柔軟性に合わせて適正なポジションとなるように調整をおこなっていきます。車体をお選びいただく前に受けていただくことでよりピッタリな自転車、フレームサイズを導き出すこともできるので車種で迷われている方は一度フィッティングを受けていただくことをおすすめします。
※今回の比較対象車は全て、H2フィット、Domane Enduranceのジオメトリーを前提にしています。