2018年から国内にも流通することが確実となった「Eバイク」
新しい製品だけに注目があつまっている一方で、性能面の詳細は未だ分かっていない部分もありました。
そんな中、当店スタッフがEバイク向けアシストシステムを製造する「BOSCH(ボッシュ)」のテクニカルセミナーを受講してきました!そこで判明した新情報をここで一挙に公開していきたいと思います!
・ヨーロッパで絶大な支持を得ているボッシュのアシストシステム
トレック製Eバイク「Verve+(バーブ)」には、日本で電動アシストシステムを製造する「パナソニック」や「ヤマハ」「ブリジストン」のものではなく、「BOSCH(ボッシュ)」というメーカーのシステムを採用しました。
ボッシュは、元々「自動車用部品」「電動工具」といった分野で世界的に有名なメーカーです。本業分野で「モーター」や「電子制御」に関わる高い技術力を持つ同社が、電動アシストシステムの開発をスタートするきっかけになった理由だそうです。
ボッシュ製のEバイク向けシステムは8年前から開発がはじまっており、2012年にはヨーロッパ最大手のEバイクパーツメーカーへ成長しました。今では有名ブランドをはじめとした80以上のブランドに採用されているそうです。
「パナソニック」「ヤマハ」「ブリジストン」は電動アシスト機能をそなえた「ママチャリ」を販売してきました。
ボッシュはヨーロッパでスポーツタイプの「Eバイク」向けシステムを成熟させてきたという点において、出発点が違うとも言えます。
次の項目では、システムの核となる「ドライブユニット」に関する特徴をご説明します!
クロスバイク/ロードバイク/マウンテンバイクのように「スポーツ走行」を楽しむ自転車は、ドライブユニット(モーター&制御ボード)に以下のような性能が必要だとボッシュは考えているそうです。
■ユニットが軽量である
■スポーツ走行が楽しめる車体バランス
■自然でダイレクトなアシスト制御
そして、2018年に登場するEバイクにはこれらの性能を満たした「Active Line Plus(アクティブラインプラス)」というユニットが搭載されます。
アクティブラインプラスの重量は「3.2kg」と、現在先行して発表されている他社製ユニットと比較しても軽量な部類※1に入ります。
※1:ヤマハ「YPJ-R」のドライブユニットが3.5kgという情報がありました
電動アシストシステムは「前輪」や「後輪」にユニットを配置したものもありますが、スポーツ走行でカーブにさしかかった時の操作感などを考慮して、重心配置が最適なボトムブラケット一体型を採用しています。
この項目こそがボッシュ製ドライブユニットの最大の特徴だと実感したポイントです。これまでママチャリタイプの電動アシスト自転車でペダルを回した際、操作のテンポがずれているような「違和感」を覚えることはありませんでしたか?
それ自体はママチャリの走行パターンに合わせて最適化した結果らしいのですが、スポーツ車の魅力である「人車一体」となった軽快な動きとは異なるものでした。
ボッシュ製のシステムはこの点に着眼し、「Eバイク向け」に最適化することで、自然なアシスト感があり、スポーツ自転車に乗った時の軽快さや爽快感が実現できています!
ボッシュのEバイクシステムには、「Intuvia(イントゥービア)」というサイクルコンピュータ型の制御ユニットを使って、アシスト率を変化させることができるようになっています。4つのアシストモードについて表にまとめました。
モード名 | アシスト率※2 | 特徴 |
ECO(エコ) | 40% | 航続距離100kmの省電力モード |
Tour(ツアー) | 100% | 一定ペースのサイクリングに最適 |
SPORT(スポーツ) | 160% | 登り坂を含んだコース走行に最適 |
TURBO(ターボ) | 200% | アシストパワー最大モード 強力な加速力が欲しいときに最適 |
※2:アシスト率の考え方
同じスピードに達するのに必要な出力(≒パワー)の割合です。例:アシスト率100%の場合はアシスト無しの時に比べ、人間は半分の力で済むという意味になります(残り半分はアシストモーターの出力で補います)
アシストモードは走行中にボタン一つで切り替えできるので、地形の変化や自分の疲労度に合わせて変更してもよさそうです♪
★Tips:ドライブユニットの耐久性もかなり高い設計になっているようで、最もモーターに負荷がかかる「ターボモード」を連続利用している場合でも6年間はメーカー規定性能を維持するとのことですよ。
電動アシスト自転車は非常に快適ですが、「バッテリー」に関する悩みがありますよね。過去のモデルは「すぐに充電が切れる」「使ってるうちに劣化が激しい」など苦い経験をした…という人もいらっしゃると思います。
特にこのパーツについては入念に聞いてきましたよ~!というわけで早速仕様を表にまとめます。
定格電圧 | 36V |
容量(名目) | 8.2Ah |
電力量 | 300Wh |
重量 | 2.5kg |
使用温度範囲 | -10℃~40℃ |
保護クラス | IP54(防滴) |
電動アシスト自転車の電池容量は、国内メーカーの場合「容量(単位Ah)」で表記されていることが多いです。しかし、ボッシュのバッテリーは定格電圧が国内メーカーと異なるため※3、比較するには「電力量」に注目しましょう!
メーカー/モデル名 | 電力量 |
TREK/Verve+ | 300Wh |
YAMAHA/YPJ-C | 60Wh |
ミヤタ/CRUISE | 417Wh |
シマノ製のシステム「Steps(ステップス)」を搭載したミヤタと今回紹介しているボッシュ製システムを搭載したトレック「バーブ」は、航続距離が最大100km以上という大容量バッテリーを備えています。ヤマハのEバイクはコンセプトが少し異なることもあってか、バッテリーは小型&小容量のものを使用してます。
※3:電力量について
電池の容量を示す単位として使用される「Ah」(アンペア時)は、定格電圧が異なると有効ではありません。そのため電力量の概算値をベースに比較しています。
ボッシュをはじめとした電動アシスト自転車のバッテリーは「リチウムイオン電池」を主としたものになっています。(最近だとスマートフォンでこの電池のことをご存知ではないでしょうか?)
この電池、内部のコンピュータ制御が進化していて、うまく使うと5~6年は実用可能な性能を維持するそうなのですが、そうするためには二つの注意点があります。
次週のサイクリングに備えてフル充電したまま保管しているかたが多いですが、実はNGです。電池の特性上、保管時は電池残量を30%~60%程度にしておくと良いそうです!(電池残量はサイクルコンピュータからチェックできます)
リチウムイオン電池は熱に弱いという弱点があります。保管する際、30度以上かつ満充電の状態だと1年に5%近く性能劣化を引き起こしてしまうとか…。防止策として、車体をガレージや駐輪場保管するかたは「バッテリーだけ室内へ」移動させることをおすすめします。
★Tips:市販の電動アシスト自転車と同様に「バッテリーの単品販売」も行われるそうなので、ながーく愛用したいと考えているかたも安心ですね!
電動アシスト自転車は、トラブルが発生すると修理対応をどうしていいか分からない。と困ってしまった経験はありませんか?
Eバイクの場合、購入店へ足を運びましょう!原則、ボッシュ製システムを組み込んだ車体を取り扱う販売店は、今回当店が受講したようなトレーニングを受けているはずです。
そして、そのような店舗では専用の診断ツールによる簡易検査が可能になっています!
このようにPCにインストールしたソフトウェアとハードウェアキーを用いれば、ドライブユニットやメーター、配線ケーブルの健康診断を行うことが可能です。また、店舗で解決できない問題は国内のサポートセンターへ詳細なレポートをすぐに提出でき、問題解決のスピードを最速にするようなシステムが既に構築されていました。
他にも、ドライブユニットを完全に車体から取り外して交換する作業も店舗で完結しますので、万が一の故障時も修理期間も最小限にとどめることができます。
Eバイク自体が日本では新しい仕組みでサポート体制が気になっていましたが、ヨーロッパで実戦経験豊富なボッシュだからこそできる体制が出来上がっています!
全ての課程を修了し、認定証を受け取りました!(左が店長・東、右はBOSCH EBIKE SYSTEMS 髙橋さん)
実はまだまだ話し切れていない、Eバイクやバーブの魅力があります。バーブについては以下の関連記事もチェックしてみて下さい!
関連記事:TREK(トレック)のeBike(Eバイク・エレクトリックバイク) VERVE(バーブ)
また、Eバイクそのものに関する質問や、疑問点がまだある!というかたは、ぜひちばサイクルへいらしてください!特に、各店舗の店長である東(あずま)&沖山(おきやま)が何でもお答えしますよ!(分からないことを調べて回答することも含めます(笑))
ぜひ、Eバイクで新しい自転車生活をスタートさせましょう!(店長・東)