ついに「SRAM(スラム)」にも電動コンポーネントが登場!というニュースを見かけたかたは多いと思います。本記事では「Red eTap(レッドイータップ)」を徹底的に調べ上げて、シマノやカンパニョーロ製品とは違う魅力をご紹介いたします!
・スイッチ増設!Blips取り付けしてみました!(2017年11月29日追記)
・まとめ:SRAM Red eTapは、こんなユーザーにオススメ!
重量 | 686g(バッテリー含) |
接続方式 | 無線AIREAネットワーク |
駆動時間 | フル充電状態からフロント90時間、リア60時間 |
価格※1 | 223,560円(税込) |
※1:電動コンポーネントのみのセット価格です。
去年、フルモデルチェンジが発表された電動モデルのシマノ「デュラエース R9150 Di2」と重量を比較した表を作ってみました!
eTAPはデュラエースに比べ、全体で98g軽量という結果になりました。無線式のため、シフトレバー、変速機共にバッテリーの重量が含まれている中で、デュラエースより軽いクランクやスプロケットが重量差につながったと考えられます。
SRAMの特徴は、「カーボン」を積極的にパーツ素材として利用し、軽量と剛性を両立している点です。直線的なシルエット、カーボン素地の質感が高級感を演出。どのバイクにも合うデザインも特筆すべき点です。
実は、無線式の電動シフト特有の課題でもっとも難しかったことの一つとして「混信(意図していないパーツの送信電波を受信してしまうこと)」があげられます。混信対策が原因となり、某メーカーでは製造を頓挫したことがあります。
そんな歴史を踏まえて、SRAMはワイヤレス電動コンポを製品化する際、独自の無線システム「AIREA」を導入しました。
AIREAシステムは「ペアリング(パーツ同士の認識作業)」した機器同士の接続情報を暗号化。そのため、他のeTapによる混信はもちろん街中で飛び交っている様々な電波にも干渉されない。と無線ならではの問題をクリアしています。
ツール・ド・フランスに出場するプロチームが協力して得た50万km(地球12周分)の走行データは、性能はもちろんのこと、耐久性の面でもプロが使用しても耐えられるという証明になります。
実は、他のパーツメーカーにワイヤレス電動コンポを開発していると知られないように、ダミーの配線を付けてテストしていたという開発秘話もあるんですよ(笑)
発売元メーカーの「SRAM(スラム)」が、eTAPの取り付けマニュアル動画をUPしています。どのような手順で組み付けをするのか分かるようになっています。ご覧になってみてください。
更に、実際に組み付けたときのポイントをまとめてみました!
■六角レンチ(アーレンキー)
■チェーンカッター
eTapの組付けには、専用工具はほとんど必要ありませんでした。2mm~5mmまでの各種六角ボルトが回せるレンチがあれば十分です。カーボンフレームの際は、トルクをチェックできる「トルクレンチ」も併せて用意したほうが安心ですね。
無線で通信しているeTAPの各パーツは、それぞれの機器を同期させる「ペアリング」という作業が必要です。同期させるのは、「ダブルタップレバー」/「リアディレイラー」「フロントディレイラー」の3つの機器。
これらの機器についている小さなボタンを押すと、ペアリングモードに移行して、同期できるようになります。
リアディレイラーについては、機械式の変速調整とほとんど変わらず。といった印象です。シマノのR9100同様に、調整ボルトは六角穴付きボルトとなっています。
フロントディレイラーについては、動作時に本体のねじれを抑えるための「ウェッジ」というパーツの取り付けが必要になっています。この調整が適正でないと、フロントはスムーズに変速できません。
また、マニュアル通りに調整をしてもうまく行かないケースも確認しています。変速の動作状況を確認しながら、微調整が必要なこともあり、ここだけは経験とノウハウが必要だと感じました。
全体を通してSRAM eTapの取付自体は、機械式のワイヤーやDi2/EPSのような電装ケーブルの配線がいらないため、簡単に終了します。
一方で、調整は従来通り微調整が必要なので、車体に合わせて完璧な動作をさせるには、プロショップにお願いしたほうがよいと思います。
SRAMの機械式は、1つのレバーで変速をする「ダブルタップ」を採用しています。これは、操作をしていて結構おもしろいので当店スタッフ(特に古舘)は気に入っています。
eTAPを実際に組み付けたあと、変速動作させた様子を動画におさめたので、ご覧ください。
変速の方法が非常にシンプル、かつワンボタンなので「押し間違えた!」という心配もありません。まるで自動車のスポーツカーにある「パドルシフト」のような操作感です。
スイッチを押したときの「カチッ」という大きめなクリック音は、ついつい変速をしたくなるほど心地よいです。
空気圧のチェックや汚れたチェーンの清掃・注油など、普段行っているメンテナンスに充電する作業が追加されるだけです。
フル充電の状態からおよそ1000kmは走行可能なので、5~600km以上走行したらバッテリー充電を行うと良いでしょう。充電時間は約45分と短時間なところも魅力的です。
シフターに限っては充電ではなくボタン電池(CR2032)の交換が必要になります。しかし、最長で2年は電池が持ちますので年1回のオーバーホール作業と同時に交換しておくと安心です。
無線コンポは、レバーとつながるワイヤーが無いため、「取り外し可能」という大きなメリットをもちます。チェーンの接続を「ミッシングリンク(再接続可能なコマ)」でセットアップしておけば、ディレイラー単体で清掃する事も可能です!
機械式のレバーから細くブラッシュアップされたブラケットは、手のひら全体で握りやすくなりました。しっかりと握れるので、特に負荷のかかる坂道ではハンドルを引っ張りやすい印象です。
SRAM eTapのリア変速は右がトップ側、左がロー側と分かりやすく直観的に操作ができました。軽く、重くを左右の指で操作するので、右手だけが忙しくなることはありません。アップダウンの多い道は変速が細かくなるので、SRAM eTapの操作に慣れると楽に走れました。
SRAM初の電動コンポーネントは、機械式に比べて変速性能がかなり向上されています。スイッチを押すとすぐにディレイラーが反応してスムーズにギアが変わってくれました。これまで、機械式はレバーの引き量によって若干もたつきを感じることがありましたが、電動式は一度に動く移動量が決まっているのでレバーコントロールを気にしなくてもしっかりと変速します。
20%を超える激坂でもスムーズな変速はかわらず、トルクをかけて走行る場面でも安心してスイッチを押せるのでレースなどの大事な局面でも信頼できそうです。
様々な場所に変速スイッチを増設できるSRAM eTap専用アイテム「Blips(ブリップス)」
シマノDi2のサテライトスイッチと同じ役割を持ちますが、取り付けの自由度はBlipsの方が上です。
左右のレバーには、各2個ずつBlips用のポートが設けられており、ヒルクライム用に上ハンドル、スプリント用に下ハンドルなど、Blipsを上下に増設することでハンドルを持ち替えずに変速できます。
すべてのポートを活用すると、レバーのスイッチも合わせて左右それぞれ3か所で変速可能になります。
ヒルクライムが大好きな私(古舘)は、勾配のきつい坂道で上ハンドルを多用します。そこで、上ハンドルでも親指を使って変速できるようにBlipsを取り付けてみました!
取り付け自体はとても簡単で、ポートにBlipsを差し込みスイッチを固定してバーテープを巻くだけです。今回は、スイッチが見えるように取り付けしていますが、バーテープの中に巻き込むように付けることも可能です。
スイッチの大きさは親指に隠れるくらいコンパクトな形状で、実際に押してみた感触は「少し固めかな?」と感じました。
押したい指によっては、力を入れる必要がありそうです。
「ロードバイクをカッコよくしたい!」
すっきりとした見た目を重要視するのであれば、ワイヤレスという機能だけでも大きなメリットになります。
シフトのワイヤーが、フレームに擦れる心配もありません。
日本のコンポーネント使用率はシマノ製品が大半を占めています。
「人とは違うものを使いたい!」というかたには、Di2と比較しても値段が大きく変わらないので選択肢の1つに入れても良いでしょう。
軽量化はヒルクライムを愛する人には欠かせない?!軽さは登りだけでなく、漕ぎ出しにも大きな影響を与えます。日本一のヒルクライムイベント「Mt.富士ヒルクライム」でも、上位入賞者はSRAMを使用している選手がほとんど。まさに、攻めるレースをするかたにもオススメです。
変速機がワイヤーで連結されていないので、ミッシングリンクチェーンの組み合わせで取り付けしている場合は簡単に外して持って行くことができます。移動中に万が一衝撃が加わっても「変速機が曲がってる?!」という心配が無くなります。
今回、Emonda SLRシリーズにSRAM Red e-Tapを搭載した試乗車を湘南藤沢店ご用意しました!
ホイールは、アイオロス D3 チューブラーを使用していますので、車体の完成重量は5.5kgと軽量な仕上がりです。
ぜひ、ご自身の手で触れて体験してください!
本来、コンポーネントの性能を最大限引き出すためには、各パーツメーカーのコンポーネントで統一することが望ましいです。しかし、「このパーツは○○を使いたい!」というこだわりを持つかたもいらっしゃると思います。
※SRAM eTAPを別メーカーのパーツと組み合わせることは、各社が正式に認めたものではありません。実際に導入される場合は、自転車店へ相談/自己判断の上、お願いいたします。
少し調整がシビアになりますが、レバーと変速機はSRAM、クランクやスプロケットをシマノで組み合わせた場合でも問題なく動作を確認しております。
愛用者も多い楕円チェーンリングの代名詞となった「ROTOR Q-RINGS」との組み付け実績もできました。
変速調整についてはSRAMはもちろん、シマノに比べてもシビアになります。変速精度を重視したいかたは、真円リングへの組替などをあわせて検討したほうがよいと思います。(当店でお受けする場合は、可能な限り精度を向上させるよう調整してお渡ししております。)