[ケースファイル]ホイールリムに修正不可能な傷が出来た
自転車にまつわるトラブルを解消するノウハウをまとめたケースファイル。今月も新たなトラブルが発生しました。お客様使用中の完組ホイールが不幸にも落車で大きな傷がついてしまったのです。
お預かりした後、チェックをしてみると、ブレーキシューのコンタクト面にガリガリと傷が入っていました。小規模なものならヤスリなどで均してお返しするのですが、この傷は深い上、広範囲に入っているとなると修理は難しいですね…。
完組ホイールでもリム交換できます
今回は、リペアパーツとして用意されているホイールの外周部(リム)と、スポークを新たに取り寄せました。このような補修の場合、後輪を丸ごと交換するよりリーズナブルに修理を完了できます。
(RXLの場合、後輪単体の販売価格(79,000円)より半額程度、お安く修理する事ができました。)
一度、ハブとリムを繋ぐスポークを緩めたあと、新しいリムに差し替えて仮組みをする…という手順を進めているところです。なんでこんな場所で修理しているかは聞かないでください(笑)
スポークを留めるためのニップルは再利用する事にしました。あまり大きなダメージがなかった事が要因です。腐食の兆候がみられるようなら、修理の際新しくすることもしばしば。また、RXLホイールのニップルは少々特殊な形なので、いずれにしても綺麗に取り外しておいたほうが良いのです。
新しいリムで仮組み中。通常ならリムの内側にニップルが飛び出てきて、四角の接触面をニップルレンチで回すのですが、RXLホイールの場合はリムの外側から六角レンチでつかんでテンション調整をしていきます。
新たなスポークが入ったセット。1箱10本いりとなっていて、RXLホイールの片側分(12本)にわずかに足りません…。余分な8本は次の機会を待つことになります。スポークにはハブとリムに合わせて、最適な長さがあるので場合によっては、作製(目的のスポーク長にカット→ねじ切り)したりして用意しています。
しかし、今回はDT SWISS「エアロライト」という扁平スポークで修理します。このタイプのスポークを作製することは難しいので、指定の長さのものを用意しました。また、完組ホイールには「ストレートヘッド」といわれる首折れしていないスポークを使用するので、なおさら都度取り寄せがベターとなります。
この代のRXLホイール組替は初ということもあり、様々検証させてもらった結果、2回作業(分解+組上げx2)を行う事になりました(笑) スポークテンションも良好な状態で仕上ることができました。
あとは馴染みを出してから、もう一度チェックをして完成です。お待ちいただいているお客様にはもう少しお待たせしますが、こんな修理方法もありますよーということでご紹介いたしました!