DT SWISS 240Sのリアハブ分解&メンテナンス方法

Bontrager AeolusやParadigm Elite、FFWD製ホイールなどに使われるフリーハブのメンテナンス

ホイールの回転軸となるハブ…とりわけ後輪のハブはギアに近い位置ということもあって汚れが内部に溜まりやすいスポットです。

近年、多くの完組ホイールで使用されている「DT SWISS 240Sハブ」は工具を必要とせずメンテナンスできるため、ヘビーユーザー向けのセルフメンテナンス記事にすることにしました!

 

後輪の駆動機構である「フリーハブ」内部を洗浄&グリスアップ

 

PHO_Hub_240_Explosion_620x327px

 

写真は今回メンテナンスをするハブの内部構造を示したものです。今回は写真右1~3の箇所を分解&清掃・グリスアップする作業をご紹介いたします。

 

ステップ1 / フリーボディの分解作業

20170408-IMG_7452

■スプロケットを付けたまま、フリーボディを手前に引っ張る

分解の仕方は非常に簡単です。写真のようにスプロケットは取り付けたまま、手前に引っ張り上げます。動画を撮影してみたので、ご覧ください。

 

ポコンと手に感触が伝わり、スプロケット体が外れたなら分解は終了です。

 

20170408-IMG_7456

取り外した後、ホイール側はこのような状態になると思います。どうやら内部のパーツには汚れが蓄積しているようです…。次のステップで綺麗に清掃していきましょう!

 

ステップ2 / 各パーツの清掃

■用意するもの

1.使い古しの歯ブラシ
2.汚れてもいい布(毛羽立ちが少ないもの)
3.パーツクリーナー
4.ディグリーザー(強力洗浄液)
5.エアダスター(PCの清掃などに使う缶タイプ)

 

20170408-IMG_7460

■ホイールから各パーツを取り外して、清掃する

先ほど、分解したときに計5つのパーツが出てくるはずなので確認しましょう。

■ホイール側
1.スプリング : 1個
2.スターラチェット(歯車のようなパーツ) : 2個
3.スリーブ(黒い筒) : 1個

■フリーボディ側(スプロケットの裏)
1.ホイール側1と同じ形のスプリング:1個

それぞれのパーツを取り外し、パーツクリーナとディグリーザーを使って、表面の汚れを落とします。

この時、スターラチェットの溝は使い古しの歯ブラシでこすった後、パーツクリーナーを吹きかけると効率よく汚れを落とせます。

 

body

■フリーボディ&ハブ本体の清掃をする

次に、スプロケットの裏側にあたるフリーボディと、ホイールのハブ本体にも汚れたグリスが付着しているので、綺麗に掃除しましょう。

一つ一つの溝が細かく、汚れが落ちにくいのでパーツクリーナーを多く吹きかけてしまう方もいますが、フリーボディ/ハブ共に溝の奥にベアリングがあります。その内部のグリスにパーツクリーナーが触れると、回転性能が落ちてしまう可能性があります。

ですので、パーツクリーナーを使用される際はなるべく溝に対して垂直に、そして少量ずつ吹きかけてこまめに布で拭いましょう。

さらに、細かい汚れはエアダスターを使って吹き飛ばすと効果的です。なくても清掃できますが、あると便利ですので1本用意しておくといいでしょう。

上の写真が清掃前、清掃後が下の写真(それぞれフリーボディ/ハブを撮影しています)です。これで各パーツの清掃が終わりました。次の組み付け工程にうつりましょう。

 

ステップ3 / フリーボディのグリスアップ+組み付け

greese
DT SWISS SPECIAL GREASE(HXTXXX00NSG20S) : 1,739円(8%税込価格)

■用意するもの

1.DT SWISS SPECIAL GREASE (店頭で取寄せ可)
2.グリス塗布用筆
3.ゴム手袋

 

g1
各パーツにグリスを塗布する

■パーツのグリスアップ

清掃したパーツの内、必要なものにグリスアップ作業を行います。DT SWISSのハブにはフリーボディ内部専用で指定されたスペシャルグリスがあります。ぜひそちらをお使いください。

尚、このグリスは有害なものですので、素手で塗り込むのではなく筆で塗り込んだり、ゴム手袋を着用して塗布してください。

塗り込むパーツは、以下の3つの箇所です(上の写真を参考にしてください)

■スターラチェット部の歯合わせ部分
■スターラチェットの外周部
■スリーブパーツの内側

 

PHO_Hub_240_Explosion_620x327px

■パーツを正しい順序で組み付ける

取り外したフリーボディパーツを上の写真の通りに順番に組み付けてください。(スリーブパーツは既にシャフトに組み付けられていることになっているため、注意)

 

20170408-IMG_7476

順番にパーツを組み付けたら、ホイールにフリーボディ(スプロケット)を戻していきます。フリーボディの中に貫通している穴がありますので、ハブシャフトに通します。

 

20170408-IMG_7477

フリーボディの奥までシャフトが入ったことを確認して、写真の右手・親指が抑えているパーツを押し込みます。(上手く入らないときは、小さなプラスチックハンマーで軽くたたくと入ります。)

■組み付け確認

組み付けが完了したら、以下のチェックをして確実に組み付けられているか確認しましょう。

1.スプロケットのローギアとホイールの間に不自然な隙間がないか
→組み付けたパーツがホイール内部に確実におさまっているかチェックしましょう

2.分解作業と同じように、スプロケットを手前に引っ張ったとき、簡単に外れてしまわないか
→正しく組み付けされていれば、少し引っ張ったくらいではフリーボディが取れないようになっています。

3.スプロケットを時計回り/反時計回りに回して、フリー機構の動作チェックを行う
→時計回りに回すとスプロケットは回転せず、反時計回りに回したときにのみ空転するのが正しい動作です。

1~3のチェックで不安なことが一つでもあるなら、普段ご利用なさっているスポーツ自転車店でチェックor再整備の依頼をしましょう。(駆動部に不良があると、ホイールに重大なダメージを与える恐れがあります。)

 

1度ポイントを抑えると15分程度で終了する作業です。メンテナンスも自分でやってみたい!と思う皆さまは一度、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

当店では、上記の作業を2,700円(税込)~ でおこなっております。手順を見て清掃したいけど自分でやるのは不安…という方は店頭でスタッフまでご依頼ください!

※当店でのリアハブ清掃については、今回の記事で触れていない左側のハブ内部及びハブシェルの清掃作業が追加されます。(ちばサイクル価格/標準価格で作業工賃が異なります。)