[ケースファイル]ボトムブラケットにガタつきがある(BB90)

ケースファイル:ボトムブラケットにガタつきがある(BB90)

先日、メンテナンスを依頼されたお客様からタイトルのような症状があるバイクをお預かりしました。この手のトラブルの主な原因と、今回陥った特殊な事例についてご紹介します。
 
 
 
まずはTREKの独自BB規格「BB90」の簡単なおさらいをしましょう。クランク軸を回転させるベアリング、それを受けるためのパーツがにフレームで出来ている所。これが最大の特徴です。(BB30やプレスフィットタイプBBとは違う点です。)
 
そして、ベアリングはカートリッジ化されています(上の写真で見えているのが分かりますか?)
このベアリングに不良が出ると、ガタつきの原因となるのです!
 
いつも通り、専用工具でベアリングを外してみようと試みた所…。通常ではありえないカートリッジベアリングからベアリングそのものが飛び出してきました。中で異常が起きているのは明らか。
とりあえず全てのパーツを外し終えてみるとやっかいな症状に出くわしました。
写真のBB受けに見えているシルバーのリング…これは残ってちゃいけないものなんです。
 
カートリッジベアリングを分解するとこんな構造になっているのですが、今回はベアリング受けに外輪(アウターレース)が固着して取れなくなっていました。これが取れないと新しいベアリングを圧入できません。その後、私(東)は5時間ほど格闘したのですが手持ちの工具ではどうやっても外れません…。しかしこれでは諦めるわけにも行きませんので、日頃から色々相談しているトレック・ジャパンのメカニックへ症状を報告して、取り外してもらえるか確認。
 
取り外せる!との返答あり!正直助かりました~。外せないとフレームが使えないですからね。

 

 
10日ほどの作業を経て、トレックジャパンから帰ってきたBB。見事にアウターレースも外れています!アウターレースにはかなりサビ・腐食の後が見られたという事ですので、メンテナンス不足が今回の要因かな。と思われます。また、今回はちょっとした「補強」もしてもらいました!
 
違う写真でごめんなさい!
 
先ほどのカートリッジベアリングは専用工具で圧入します。正しい方向から力をかけて均一に押し込まないと、回転が渋くなってしまったりするわけです。
 
なんとか今回のケースは外れなかったアウターレースを取り外して、フレームを救うことが出来ました!皆様も1年に1度のオーバーホールはぜひとも受けていただきたいですね。でないと、今回のようなケースになってしまうかも…。気になった方は店頭へバイクと一緒にご来店ください!